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金箔ができるまで

金の主な変化

  • 延金(のべがね)

    厚さ約100分の3~5㎜。
    これから様々な段階を経て金箔に
    変化していきます。

  • 上澄(うわずみ)

    厚さ約1,000分の1㎜。
    アルミホイルのような感触です。
    扱いやすく、熱に強いため
    九谷焼やガラス工芸で使用されることが多いです。

  • 金箔

    厚さ約10,000分の1㎜。
    扱いがとても繊細で息でも飛ぶほど
    薄いです。工芸作品だけにとどまらず
    食品や美容にも使用されます。

金箔製造工程

  • 金合わせ(かねあわせ)

    金箔づくりは、金に微量の銀・銅を加え、型に流し込み、約1,300℃の高温で溶かして合金します。銀や銅を加える割合によって、金箔に色合いの変化が生まれます。

  • 延金(のべがね)

    合金を帯状に延ばしたものを「延金」といい、ロール圧延機で何度もローラーがけし、約100分の3~5㎜の薄さに延ばします。帯状の延金は約5cm角に切りそろえます。

  • 紙仕込み 澄打紙(かみじこみ ずみうちがみ)

    金沢二俣の西の内和紙を、澄打紙に仕上げます。
    澄打ち工程は段階ごとに紙を準備します。

  • 澄打ち(ずみうち)

    約5㎝角の延金を紙にはさみ、叩き延ばしていき、延金が約13cm角まで延ばされた状態のものを「小兵(こっぺ)」といいます。
    小兵を大きな紙に移し替え、澄打機でさらに伸ばしていき、約18cm角まで延ばされたものを「荒金(あらがね)」といいます。
    荒金を包丁で四等分に裁断し、「小重(こじゅう)」と呼ばれる大きさの澄打紙に移し替えます。
    再度、澄打機で小重の紙いっぱいになるように叩き延ばしていき、さらに小重の大きさから一回り大きなサイズの「大重(おおじゅう)」と呼ばれる澄打紙に移し替え、約1,000分の1㎜の薄さまで延ばしていきます。
    最後にハトロン紙に移し替え、艶消しをします。

  • 仕上げ(しあげ)

    上澄を約20cm角の大きさに裁断し、三つ折りにします。この後、澄職人が丹誠を込めて作った上澄は、箔職人のもとへと引き継がれます。

  • 紙仕込み 箔打紙(かみじこみ はくうちがみ)

    兵庫県の名塩、石川県の中島紙、二俣紙の下地紙を使い、箔打紙に仕上げていきます。
    箔打紙の質の善し悪しで金箔の質が左右する、重要な役割を担っています。そのため、仕上げには職人の長年の経験と勘が必要とされ、半年程かけて箔職人こだわりの箔打紙が仕上がります。

  • 仕入れ・小間打ち(しきいれ・こまうち)

    まず、澄職人から受け取った上澄を、厚みのムラを見て9~12枚に切り分けます。 この作業を「澄切(ずみきり)」といいます。
    小さく切られた上澄を一枚一枚、「小間紙(こまがみ)」(箔打紙)に挟む作業が「仕入れ」です。小間紙と仕入れした上澄がずれないように、まき革で包み込み牛革で固定します。箔打機で上澄を打ち延ばし、約10cm角まで延ばしていきます。この際熱が発生するので、何度か小分けにして冷ましながら行います。

  • 渡し仕事・打ち前(わたししごと・うちまえ)

    小間打ちが終わった上澄を「小間(こま)」といいます。この小間を「まま紙」と呼ばれる箔打紙に移し替えます。
    移し終えた「まま紙」は電熱器で暖めます。これを「火の間(ひのま)作業」といいます。火の間作業を終えたあと、箔打機で小間を約10,000分の1mmまで延ばしていきます。ここでも熱が発生するので小分けにして冷まします。

  • 抜き仕事・うつし仕事(ぬきしごと・うつししごと)

    打ち上がった箔は、品質の選別をしながら、箔打紙から100枚で1冊からなる広物帳(ひろものちょう)に移し替える工程が「抜き仕事」です。約10,000分の1ミリとなった金箔は薄く、息や静電気でも破れるほど、とても繊細な代物です。そのため抜き仕事には、静電気が起こりにくい竹箸と天狗爪を使用します。
    「うつし仕事」では、広物帳の箔を所定の寸法に枠(竹製の刀)で切り揃え、切り紙(岡山県の津山紙)の上に移し、100枚を一包として完成品とします。